北一明の紹介
北一明(本名:下平昭一)は20世紀の80年、90年代にヒロシマ、ナガサキ、沖縄、南京、アウシュビッツ、そしてスリーマイル島等をテーマに、反核、平和を訴えた芸術家です。
北は陶芸家であり、宋の時代の曜変天目に魅せられて、独学で研究を重ね、独自の耀変天目を作り、茶碗、茶盌、デスマスクで具現化しました。
法政大学大学院を中退後、東京都中野区に工房を設け、精力的な活動で作品作りに没頭しました。各地で展示会を開催、作品は宗左近、後藤総一郎、家永三郎、鶴見和子ら日本の知識人だけでなく、アンリ・ルフェーブル等世界各地の文化人、平和運動家などに賞賛され、ノーベル平和賞にもノミネートされました。
また地元紙の主筆、書道家であった父の下平政一の影響を受け、当時の知識人との交流を通じて思想家、書家としても活躍し、数多くの作品、著書、評論などを遺しています。
1990年からは焼き物と書の遡源の地、中国上海、北京で展示会を開催、ひときわ高い評価を受けるなど、日中交流に貢献しました。今や核大国入りした中国ですが、現在に至るも中国で反核の作品展が開催された例はありません。反核のデスマスク、書などの作品を通じて、万を超える参加者を感動させたことは唯一無二の出来事といえます。
彼の作品の一部は大英博物館、故宮博物院をはじめ国内外の著名な博物館や母校の法政大学、出身地の飯田市にも収蔵されております。
その後故郷の飯田市に一時帰郷した際、病に倒れ、療養していましたが、2012年10月ひっそりとその生涯を終えました。北は生前一貫して、反戦、平和を訴え、原発、核兵器に対する警鐘を鳴らし続けました。私たちは、北作品を通して核の脅威を後世に伝えていくことが北からの宿題に応えることであると考えています。